第6回全国書写書道伝統文化大会  概要

6回全国書写書道伝統文化大会
特別賞・優秀特選受賞者一覧

主 催
一般社団法人日本書字文化協会
公益財団法人文字・活字文化推進機構

後 援
文部科学省
全国連合小学校長会(全連小)
全日本中学校長会(全日中)
全国高等学校長協会(全高長)
全日本書写書道教育研究会(全書研)
大会会長  大平恵理(書文協会長)

構 成
平成29年度全国年賀はがきコンクール
平成29年度全国学生書き初め展覧会

応募締切
平成30年1月19日
中央審査会同1月26日

審査委員長 加藤東陽(中央審査委員会委員長)

ご挨拶  一般社団法人日本書字文化協会代表理事・会長 大平 恵理

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

伝統文化大会の成績が決定しました。それぞれの結果を学びの記録として大切にしてください。
念願かなった方は今後ますます頑張る励みとして、今一歩届かなかった人はこれまでの練習を振り返り、学び直すきっかけにしていくことがコンクールに参加する意義となります。
皆さんは教室で、あるいは全国各地で切磋琢磨してきました。また、家族の協力という心ももらいました。
真剣に仕上げた作品とともに一回一回のコンクール参加を豊かな経験として心に残し、また継続する力を養っていただきたいと思います。

応募数は全体で11%の増加

受賞者の皆様、おめでとうございます。
この伝統文化大会は、全国年賀はがきコンクール、全国学生書き初め展覧会の二つのコンクールで構成されています。年賀はがき、書き初めという正月にちなむ代表的な習俗に取り組むことで、書による日本の伝統文化を強く意識してもらう大会です。今回の応募数は年賀が11,484点(第5回10,440点)、書き初め1,443点(同1,203点)と両コンクールとも伸び、合計12,927点(同11,643点)で11%の増加となりました。

教育特別奨励賞を倍増

大会の賞構成は以下の通りですが、各コンクールの賞名は同一です。これとは別に、この大会では総合賞として両コンクールで共に優秀な成績をあげた人の中から伝統文化大賞を選びます。そのグランプリは文部科学大臣賞です。
賞は大きく特別賞と本賞に分かれます。特別賞は一定の水準を超えた作品に贈られる難関の賞で、全体の約2.3%です。その中の教育特別奨励賞の約半分は「希望枠」とされます。希望枠は、書写書道の学びの意識が希薄な風土・環境の中で特別賞のレベルに達する作品を頑張って書いた、と認められる作品に贈られます。教育特別奨励賞の本数は今大会から倍増されました。

優秀特選を精選

一方、本賞のトップは優秀特選で、その中から特別賞候補作品が選出され中央審査会にかけられます。これまで、優秀特選の中から各学年の上位作品を優秀特選「ベスト10」として発表してきましたが、今大会からこの「ベスト10」を優秀特選とし、これに入らない場合は特選とすることにしました。優秀特選の精選化ですが「ベスト10」に入るには一定のレベルにあることが必要で、学年によっては10点に達しないケースも出てきます。

<賞構成>
総合賞(伝統文化大賞)
文部科学大臣賞、名誉大賞、大賞

各コンクール共通
<特別賞>
文部科学大臣賞
名誉大賞(前回、同大臣賞受賞者作品)
大賞(同大臣賞と同レベルにある作品)
中央審査委員会賞

日本書字文化協会会長賞
文字・活字文化推進機構理事長賞
全国連合小学校長会長賞
全日本中学校長会会長賞
全国高等学校長協会会長賞
全日本書写書道教育研究会会長賞
中央審査委員長奨励賞

日本書字文化協会賞
文字・活字文化推進機構賞
全日本書写書道教育研究会賞

教育特別奨励賞

<本賞>
特別優秀賞(優秀特選ベスト10)
特選
金賞
銀賞
銅賞

審査講評

第6回伝統文化大会の中央審査会は平成30年1月26日、東京都中野区の区立もみじ山文化センターで開かれました。審査会には辻眞智子副委員長ら中央審査委員会委員5人と日本書字文化協会から大平恵理会長ら3人が加わりました。
冒頭、大会事務局から「応募点数が前回の11%増となり、明らかに増加傾向に転じた。書写書道には今、世間の追い風が吹いていると分析したい」との報告がありました。

作品のバランスに気を付けよう

審査会は「良い所をみつけましょう」という合言葉でスタートしました。皆さん、一生懸命取り組んでいる姿が伝わってくる作品ばかりでした。「これはずいぶん筆が動いているねえ」と審査員を感嘆させる作品もありました。しかし、厳格公正を旨とする審査ですから、講評は注意点を並べ立てることになりますが、大きくは「作品のバランスに気を配って」と言いたいと思います。
作品のバランスを保つうえで気になった一つが名前の書き方です。左側に上から下までを使って名前を書いてある作品は、見ていても不自然です。名前は本文の天地より中に、中央に寄せて書くのが良いでしょう。名前の書き方で大臣賞が左右されるケースもありました。 

正しい筆順で書くことも文字や作品のバランスを取るうえで大事です。例えば、年賀はがきの日付にある平成の「成」は、一画目を縦線から入るのです。そうしたうえで横にひかないと字がつぶれてしまいます。一方 筆順は行書になると変化することもあることをしっかり認識しましょう。
謹賀新年の4文字列は曲がってバランスを取りづらいので注意しましょう。「で」や「が」などの濁点の位置にも気を付けましょう。硬筆も含め落款印を押した作品がありましたが、印の大きさや押す位置にも留意したいと思います。
この他、中学生以上になったら、行書体の崩し方に注意してほしいと思いました。例えば、右払いの終筆も楷書とは異なってきます。草書になるとますます字形は変化してきますが「この人は実画をちゃんと分かって書いているのだろうか」と疑問に思う作品もありました。
次回もたくさんの力作を期待して、講評といたします。