自己を全肯定する文字表現
だからこそ今!
「字を書く(=書字)」ということは、自己表現としてとても大きな役割を果たしていると思います。そのため「書字」は、自己を全肯定するところから始めたいと強く思うのです。
とかく書いた文字を「上手い、下手」とかでとらえてしまいがちです。「字を書く」ことは大事な「自己表現」の手段なのに、「上手い、下手」でとらえてしまうのはもったいないことです。一所懸命に心を込めて書いた文字が「下手」なんてことは絶対にありません。もし、書かれた文字に「下手」と感じることがあったとしたら、それは書き手の諦めや投げ出す心が表れてしまった時のはずです。一所懸命に心を込めて書いた文字には必ず良さがあるのです。
「文字を書く学び」で大事なことは、自己を全肯定する活動であり、自他共に書き手の文字の良さに気づける目や心を養い、豊かな心を育むものであることです。
そのためにも、いつも文字に接している書字の学びこそ言葉との親密度を高め、言葉の感性を磨くものであるようにと考えています。テキストやコンクールの題材には、昔話や神話、故事成語、俳句や短歌などの詩歌、現代文等を広く取り上げています。
また、手本通りに書くことが学びなのではなく、「評価の観点」を明確にします。始めは意識して学んでいるうちに徐々に意識せず、自分の字を自信持って書けるように、カリキュラムの工夫に努めています。
書文協は2010年(平成22年)2月、書写書道を長く研鑽してきた者たちが東京都中野区内に設立しました。今年で12年目になります。非営利の法人として活動してまいりました。基礎固めの時期とも言える最初の10年を経て、続く10年は大きく飛躍していく年にしたいと思います。
書文協の仕事の第一は、書写書道の指導方法(メソッド)の研究開発です。このため教え方の研究を続けています。得たメソッドは、テキストの発行を中心に世に還元するように努めています。テキストに基づく全国検定試験(検定)、その結果に基づく段級の付与も大事な事業です。指導者の養成を目的に指導者ライセンス(資格)認定も行っています。中野での本部講習会、各地の団体の要請による講習会も開催します。時節柄、開催を中止することも多いのですが、ご希望の団体はお声掛けください。
2022年度は新たな検定試験(全国書字検定試験)の実施を検討しています。書写書道を生涯教育にすることを目指したものになります。あらたな市販本の発売を大手出版社からオファーも受けております。
書文協の活動を通して多くの方とふれあい、学んでおります。皆様とのご縁がより豊かなものとなり、書字文化を次代につなぐ一翼を担えるように努めてまいります。どうぞよろしくお願い申し上げます。