~日本書字文化協会機関紙 No94~
令和4年(2022年) 1月新年号

◇大平恵理会長ご挨拶
◇冬の特訓実施、第10回全国書写書道伝統文化大会締め切り迫る
◇2022年の書文協の取り組み
▶年間スケジュール▶2022はここに注力(①テキスト発行②専修学院生大募集・川崎校の本格展開③展示・表彰・交流会、中央・地域講習会の再開④ネットの充実
◇新聞社がらみ話題3点
▶朝日新聞出版社の新刊▶読売新聞生活家庭面に硬筆特集▶毎日新聞都内版に書道連載

一般社団法人日本書字文化協会(書文協)
本部 〒164-0001 東京都中野区中野2-11-6 丸由ビル3階
電話03-6304-8212 / FAX03-6304-8213
Eメールinfo@syobunkyo.org ホームページhttps://www.syobunkyo.org

ご 挨 拶

一般社団法人・日本書字文化協会
代表理事・会長 大平 恵理

書字は自己表現だから意識し、全肯定で

新年、おめでとうございます。今年も、正しく美しい日本語の継承、良き伝統文化の発展が書文協の目標です。旧に変わらず、ご支援のほどよろしくお願い申し上げます。
政府のデジタル庁の新設など、IT化は益々進むでしょうが、同時に文字を書くことも大事にしていきたいと思います。一律の符号で示されていくデジタルと違い、書字は呼吸を調え、思考が脳から腕を伝い、指から筆記具に伝わって紙の上に字となって現れます。日本語を覚える効果や脳の活性化が言われる所以です。それ以上に、それぞれが手書きする書字は、個性ある自己表現であることが、とても大事で、素敵なことだと思います。
このことから、私が考える第一の点は、自己表現であるからこそ、意識すれば書かれる字も変化する、と言うことです。変化は書く速さや筆圧にも影響し、そこにリズムが生まれます。こうして書かれた字は、必ず見違えるほど美しい文字になります。
第二点は、自己表現であるからこそ、自分を全肯定して取り組みたい、と言うことです。
私もそうですが「上手く書けるかな。自分は書くことに向いていなのでは」という意識を持ちがちです。そんな苦手意識は捨てて、自分のことを肯定的にとらえたい、と思います。
この全肯定は、書字に限らず何事にも大切なことで、日本の子どもたちは自己肯定感が薄い、といわれがちなのは残念なことです。
最後に、書字は文字の集まりである言葉と密接です。つまり、書字は言葉を通じて自分を表現することなのです。書文協が言葉を大事にしているのもこのことからです。特に言葉を書くことの多い硬筆テキスト「えんぴつ・ペン文字練習帳」は言葉を豊かにする様々な工夫をしています。また、専修学院に作文教室を置いています。この教室は専修学院生でない遠距離の方でもオンラインで参加できます。是非、ご利用ください。

燃える冬の特訓、年末年始に開催

毎年恒例の冬の特訓が、歳末から年始にかけて実施されます。時節柄、防疫の徹底のために専修学院生徒のみを対象としましたが、生徒たちは毛筆に、硬筆練習に多くのコマ(練習単位時間は90分)を申し込みました。2021年夏にも実施され(写真)、生徒たちは冬の開催も強く望みました。
特訓は東京都中野区と青梅市内の公共施設で12月25日から実施され、1月4日には渋谷区代々木のオリンピック記念青少年総合センターでも開かれます。特訓では通常の練習の強化訓練だけでなく、学校の宿題の面倒を見ることや年明けの日本武道館での席書き大会の準備にも当てます。

 

 

第10回伝統文化大会に応募を

ささいなことでも結構ですので書文協本部に電話かメールで問い合わせてください
大会コンクールは二つ

 

◆令和3年度全国年賀はがきコンクール(硬筆)

応募年齢は幼児から一般まで。いずれも指定課題が決まっています。年齢(学年)ごとに定まっている年賀はがき清書用紙(書文協から購入)あるいは日本郵便はがきに書いて応募してください。

◆令和3年度全国学生書き初め展覧会(毛筆)

応募は幼児から大学生まで。指定課題と自由課題があります。自由課題は同一文言でも用紙の大きさ(半紙、八ッ切、半切、地域指定用紙)が違えば3点まで応募できます。

ホームページに参考手本など掲載

ホームページにAお手本・評価の観点 B実施要項、指定課題解説一覧が掲載されています。Aはページ上部に横一列にあるメニュー欄の「ダウンロード」項目からダウンロードしお使いください。Bはページ中ほどのバナー欄(カット写真付き)の「書写書道コンクール」項目に記載されています。スマホからも楽に見られる作りになっています。

書文協年間スケジュール

状況により、予定が変更されることがあります。直前になったら書文協ホームページ(https://syobunkyo.org)でお確かめください。ホームページはスマホからも見易い作りになっています。
パソコンとスマホでは、ホームページを開いた場合のフロントページの作りが異なります。パソコンの場合、上段にメニュー欄が並び、その下にカット写真付きの項目(バナーと呼びます)が並びます。スマホで開きますと、バナー項目が並び、右上横にハンバーガーマークと呼ばれる(三)が付いています。これをクリックするとメニュー欄が掲示されます。

<1月>

▶︎新硬筆テキスト11巻発行・・・・・・・・1/7
▶︎第10回伝統文化大会締め切り・・・・・・・・1/21

<2月>

▶︎2月検定試験
20日までに受験作品を書文協に送ってください。次月末日ごろまでに合否判定と添削作品を返送します。

<3月>

▶︎第7回臨書展締め切り・・・・・・・・・3/25
▶︎専修学院生春の大募集・川崎校開校記念式
▶︎新硬筆テキスト12巻発行・・・・・・・3/31

<4月>

▶︎4月検定試験
▶︎中央講習会・地域講習会
地域団体のご要望を調整して日程を定めます。
▶︎中央審査委員会会合
2021年度は非常時態勢 で過ぎました。新年度はできる限りの通常化を目指しています。中央審査委員の先生方にお集まりいただいて、諸々のことについてご意見を伺う会にしたいと思っています。4月新学期が落ち着いたころの4月末を予定。

<5月>

▶︎5月ライセンス試験
改めて発表します
▶︎新硬筆テキスト13巻発行・・・・・・6/30

<6月>

▶︎6月検定試験

<7月>

▶︎中央・地域講習会
4月と同様に日程調整を進めます。

<8月>

▶︎8月検定試験
▶︎夏の特訓

<9月>

▶︎第11回総合大会締切・・・・・・・・9/16
ひらがな・かきかたコンクールは例年通り7月下旬の締め切りです。
▶︎新硬筆テキスト14巻発行

<10月>

▶︎10月検定試験
▶総合大会優秀作品展示・交流会 ▶書文協総会を同時開催
・・・・・10月下旬あるいは11月初旬

 

 

<11月>

▶︎ライセンス試験

<12月>

▶︎12月検定試験
▶︎新硬筆テキスト15巻発行  場合により新年になるかもしれません。

 

 

2022年、ここに注力

コロナ禍に呻吟してほぼ2年。書文協は「書写書道の学びは止めない」決意でやってまいりましたが、多くの事業がストップあるいは規模縮小となっています。コロナの動向は予断を許しませんが、書文協は今年、防疫に完璧を期しつつ、積極的な事業展開に転じます。「書文協年間スケジュール」と併せてお読みください。

 

①新硬筆テキスト全巻刊行、検定・ライセンス試験の拡大

書文協の中心事業は、書写書道の指導法の教授です。このためにテキストが用意され、成果を試す「全国書字検定試験(検定)」と「指導者資格試験(ライセンス)」があります。

えんぴつ・ペン文字練習帳11巻を1/7発行

書文協はこれらの見直しを進めていますが、その中で生まれた「硬筆課題検定(通称・新硬筆検定)」のテキストは15巻を構想するうちの10巻(高校1年生相当)までが刊行済です。今年は11巻(高校2年生相当)をまず1月7日には刊行予定です。その後、3か月ごとに刊行を続け、年内には15巻(一般相当)までできれば刊行したいと思います。

 

 

学校単位での検定受験、検定とライセンス試験の切り離し

検定試験は従来通り、2ヶ月に1回偶数月に行います。毛筆、硬筆のテキスト課題に添って清書作品を合否判定するものですが、今年は園・学校単位での受験を勧める活動を展開します。このため授業の進め方との関係で必要なときは、園・学校に限り3ヶ月に一度の不規則受験も認めます。
指導者ライセンス(資格)試験(ライセンス試験)は、書文協が、この人は教える力がこのレベルまである、と認定するもので、サークル指導のためなどに好評です。従来は、検定試験の進み具合に応じて、各級ライセンス試験の受験を認めてきましたが、昨年にこの連動制限をなくしました。途中から検定参加した人などで教える力があってもライセンス試験を受けられない壁を無くするためです。しかし、この切り離しがまだ徹底されていませんので、周知に努めます。

 

②専修学院生の大募集、川崎校の本格展開
オンライン受講生も募集

書文協は付属の教室として書写書道専修学院を置いています。現在、東京中野区の本部校と羽村市の多摩支部校、そして昨年秋に開校した川崎校があります。これらの各校では、書文協のベテラン講師が直接手ほどきしますが、昨今はオンライン指導も盛んになってきました。このため本年は、書文協加盟の書塾が無い県と北海道に限り、オンライン受講専修学院生を募集します。

川崎校を拡充展開

3つ目の専修学院教室として昨年秋、神奈川県川崎市に川崎校を開校しました。交通の要衝である武蔵小杉駅近くの地域活動センターを拠点に、毎週1回の授業と毎月1度の日曜講習会を開いています。タワーマンションの林立する未来都市的な地域ですが、幼少のうちから書写書道を習わせたいという親御さんも少なくなく、また都内まで通うのが大変という生徒たちに喜ばれています。開校曜日、コマ数の増など拡充に努めます。

 

③展示・表彰・交流会や中央・地域講習会の再開
オンライン方式による開催も検討

ぜひとも再開したいのが、総合大会、伝統文化大会ごとに開いてきた優秀作品展示会・表彰式・交流会です。交通機関を利用して全国から集まるだけに、感染を懸念してストップしてきました。たとえ従来通りの形が状況により無理でも、ネット機器によるオンライン参加方式も検討する等、こうした場の確保を目指したいと思います。
本部近くの中野区内や、各地に書文協講師を派遣する地域講習会の再開を望む声も多く寄せられておい、できる限り再開します。

 

④ネットの充実

昨年、ホームページの大改造を行いました。併せて今年は、書文協ユーチューブ・フェイスブック・インスタグラムなど、関連情報交流装置の充実に努めます。

 

 

新聞がらみ話題3点

全国紙3社がらみの話題をお届けします。昨年末から初春にかけてのもので、時系列で並べました。(文責・問い合わせは、当機関誌編集部です)

 

◆朝日新聞出版社発行
動画が飛び出す「読むだけで自分の字が 見ちがえる!」

大平恵理・書文協会長著で2021・12・20、全国の書店で一斉に発売開始されました。
B6版サイズ(128mm×182mm)で本文128ページに練習ドリル編が32ページ付いて1430円(消費税込み)。何ともユニークな題名ですが、上原千穂・同社編集者、元井朋子・ライター、大平会長が作り上げた労作です。
B6のコンパクトな本に、何組もの動画が埋め込まれているのもユニーク。ページにQRコードが描かれていて、そこからスマホで動画を再生するもの。例えば「①止め・はね・払いは忠実に」の題の下に、動画でCHECK!・QRコードが付いていて、それを再生すると大平会長が実際に書いているのが分かります。書写書道本から飛び出す動画。IT時代にピッタリです。

まとめ買い希望者は書文協にご相談を

2・3ページに掲載された大平会長手書きの「はじめに」のタイトルは「意識の変化が字に魅力を生む」。脳から手に伝わるリズムで書く自己表現の書字は自己を全肯定して取り組もう、という大平書字哲学が書き込まれています。
「ほら、この本を読んだら,見違えるほど個性的できれいな字になったでしょ」と言わんばかりに、取り外せる練習ドリル編が付いているのも、にくい構成です。
まとめ買いを希望される書文協関係の指導者先生方は、ぜひ書文協にご相談ください。

 

◆読売新聞生活面掲載
「大平恵理・書文協会長の硬筆指導」特集

読売新聞東京本社生活部の男性記者が、大平会長から聞き取りで硬筆の書き方を紹介した記事が、2021年12月23日の同紙生活家庭面に大きく掲載されました。子供の字を心配する親の期待に応えて、その記者が、市販本から見つけた大平会長に取材を申し込んできたようです。
「あけまして おめでとう」の大平会長自筆のイラストも付いており、年賀状作成も佳境の時期に、きれいな字をかくためのポイントを書文協会長に聞いてみた、というもの。本文のほか、イラストには気をつけるべきポイントが書かれています。
大新聞が、字の書き方を生活家庭面でしっかりと取り組んでいただいた意欲と、代表的指導者として書文協の大平会長を選んだ目の確かさに敬意を表するものですが、記者も普段あまりなじみのない分野の取材で苦労されたと推察します。今後とも、大事な取材分野として取り上げていただけることを期待しています。

 

◆毎日新聞都内版に“書写書道の今”を連載
長野秀章・書文協中央審査委員著

本年1月の最終金曜日(1/28)から毎月最終金曜日に5回ほど、毎日新聞都内版に掲載予定。「筆や鉛筆を持つ子供たちの学びは今」のタイトルで、長野先生が書塾の現場も訪れるようです。毎日書道会が編集局とタイアップして行うもので、毎日書道会審査委員でもある長野先生に白羽の矢が立ちました。
長野先生は東京学芸大学名誉教授。
長く文部科学省教科調査官も務めました。
書文協中央審査員委員として日頃からお世話いただいており、書文協はこの企画に全面的に協力する方針です。
都内版では、これまでも書写書道関係の企画が連載されており、長野先生も何度かレギュラー執筆者として見識を披露されてきました。
(写真は、2020・5・29掲載の「書教育浪漫」。竹軒は長野先生の雅号)