~日本書字文化協会機関紙 No96~
令和4年(2022年) 4月-5月併号

◇ご挨拶(会長・大平恵理)
◇第10回伝統文化大会審査講評
◇第7回臨書展審査結果速報
◇ひらがな・かきかたコンクール案内
◇特別認定試験実施
◇事務局より

 

一般社団法人日本書字文化協会(書文協)
本部 〒164-0001 東京都中野区中野2-11-6 丸由ビル3階
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ご 挨 拶

一般社団法人・日本書字文化協会
代表理事・会長 大平 恵理

ご 挨 拶

 

リカレント教育

春は出会いとお別れの季節です。
個人的ですが、古い女性のお友達が、また書写書道をやりたい、と言ってきてくれました。川崎校に通ってくれます。大学進学のためしばらく休んでいた青年が、念願の合格を果たし、復帰宣言をしてくれました。帰省のついでに、懐かしい顔を書文協本部に出してくれたケースも。
一方で残念なケースもあります。進学で居住地など環境が激変
したので退会されました。状況が落ち着いたら戻ります、と言う言葉を信じます。受験のために1年ほど休会したい、と言う人も。しっかり頑張って合格を、と祈念するばかりです。
本音を言えば、細々の時期があってもいいので、絶対に書写書道の学びを続けて欲しいのです。しかし、誰しもいろいろなライフステージがあります。やっと育児から解放されたと思ったら、親の介護が始まるケースも珍しくありません。
このため書文協は、書写書道学習を生涯教育にするために、リカレント制度の充実に力を入れています。リカレント(recurrent)とは循環や再出発が直接的な意味。必要なタイミングで学び直すのがリカレント教育です。まずは各教場に団体登録していただき、その時、生徒さんの性別、生年月日、住所などを登録します。
これらの情報は外部から完全に遮断されたサーバーに保存され、その個人の請求がなければ開示されることはありません。またその扱いは関連法規に守られます。その個人情報に、その人の検定など研修履歴、大会での成績などが保存されていきます。しばらくの時を経て、改めて学びをスタートさせるとき、そのデータがとても役立つのです。
このシステムは、各教場を代行して行っているとも言えます。時と場所が違っても、皆で書写書道を生涯学習とすることができるのです。書文協加盟の皆様に会費を頂いていますが、その多くはこのシステム維持に役立てられています。

 

第10回伝統文化大会講評

会期:令和3年12月1日~令和4年1月21日

第10回全国書写書道伝統文化大会の審査会は、令和4年2月8日、中野区内で行われました(月刊2・3月合併号既報)。今号では加藤東陽・書文協中央審査委員長の審査講評をお伝えします。

出品数(カッコ内は前回)は応募総数 9,383点(8,986点)、年賀はがきコンクール6,961点(6,658点) 書き初め展覧会2,422 点(2,328 点)でした。

 

 

加藤東陽先生講評

自己表現として文字を書き、言葉を書くことを大切に

年賀はがきコンクールについて、幼児から一般まで、硬筆用具をよく生かし、しっかりと学んでいることが作品に表れていました。年賀はがきは手紙を書くという日常性の高い活動です。

ですから本コンクールは小学生まではえんぴつ、中学生からはボールペンも含め硬筆を使用することになっています。幼児、小学校低学年でえんぴつの線が太すぎた作品、中学生以上一般の方で筆ペンを使用したように受け取れた作品では、評価が本来の力より少しさがってしまったのは残念でした。

はがきは紙面がとても狭いうえにマス目や罫線もありません。ここに賀詞、メッセージ、日付、氏名を収めるので、特に文字の大きさや行の中心を整えることが大切です。作品の左右の余白などにも注意を払っている作品にはとても好感が持てました。

書き初め展については年齢に関わらず技能面だけでなく自己表現の観点からも昨年以上に実力をつけてきていることを嬉しく思いました。多くの作品に、書く枚数を重ねることで現れてくる線質の豊かさ、書いている言葉をものにして自分の思いを乗せて書いていること、特に高校生以上では墨の潤渇の自然さ等が感じられました。

書き初めとして古典に臨む中でも、言葉の区切りなどに注意をはらい、言葉に思いを乗せて書くことを心がけるようにしましょう。毛筆作品ではなおのこと、線の太細、文字の大小の調和、墨の潤渇など、それらが相まって、自分のものにしてまとめていくことで、紙面の余白が心地よく響きあってきます。そして書くことの楽しさが自己表現となります。自分の作品に良さを見出し、また指導する先生方は良さを引き出し褒め、取り組むことを期待します。

 

 

第7回臨書展の審査結果 応募〆切:令和4年4月22日

大賞に大阪の阿部智恵さん

書文協主催の第7回臨書展は令和4年4月22日締め切りで行われ、合計1092点の出品がありました。前回より5%の増加でした。審査は4月30日、中野区内で行われ、臨書展審査員3人のうち加藤東陽・書文協中央審査委員長、加藤泰弘・同委員が出席、豊口和士・同委員は大学での所要のため欠席されました。
審査は厳正に時間をかけて行われ、大賞など特別賞7点、優秀賞12点が決まりました。書文協ではさらに、第7回が力作ぞろいであることから、今後の一層の発展を願って奨励賞を新設、ホームページの結果発表欄で名前を公表します。
大賞は、大阪府内の麗鳳書院(寺本麗鳳代表)で講師を務める阿部智恵さんが獲得しました。阿部さんは大阪教育大学で書道を専攻、優秀な成績で卒業して3年。高校の非常勤講師も務めつつ躍進を続ける新進の女流書家です。
作品は、平安期の三蹟と言われる藤原行成の針切れの仮名を一枚の半切に細かく書いた優美な作品です。
日本の古典、それも仮名文字を書いて射止めた大賞。
阿部さんは「臨書展に向けて新しいチャレンジをした作品でした」と喜んでいます。
これらの賞は、6月3,4,5日に東京都青梅市の多摩川渓谷沿いの澤乃井ガーデンギャラリーで開かれる優秀作品展示会で飾られます。審査結果は、奨励賞など審査結果は5月末頃に賞状等の発送をもって行います。また、審査講評、特別賞受賞者の喜びのコメントは、6月初旬発行予定の月刊書字文化6月号に掲載します。なお、作品は書文協に帰属します。
臨書展は書写書道を学ぶ上で大事な臨書の普及と共に、日中の文化交流の促進を目指しています。前回から中国大使館文化部に続き、今回は地元青梅市に後援いただきました。大会の趣旨を踏まえ、次回第8回(来年3月末予定)では後援団体の広がり、内容の一層の充実を図ります。また、出品カテゴリーの見直しなども行います。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

阿部さんの受賞作品。

 

 

<臨書展後援団体>

青梅市、中華人民共和国駐日本国大使館文化部、東京都青梅市日本中国友好協会、中国書法学院、国際芸術家連盟、NPO法人日中友好交流促進会、中国国立南京芸術学院日本校、蘇州・寒山寺、蘇州呉昌碩研究会

 

<各部門出品数>

第7回(第6回)

臨書常設課題の部  309点(440点)

臨書自由課題の部  287点(216点)

楷書書写の部    496点(384点)

合計       1,092点(1040点)

 

<特別賞受賞者>

大賞           :阿部智恵

中国大使館文化部賞    :鈴木苺亜

中央審査委員会賞     :近藤乃愛

日本書字文化協会会長賞  :龍見奈々子

青梅市日中友好協会会長賞 :関口美夢

日中文化交流促進会理事長賞:戸邉奏太

日中文化交流促進会理事長賞:松尾彩加

優秀賞 :浦ひかり:波多野百音:蜷川千衣:本橋由香里:伊東琥子:平川汐南:大平麗雅:六佐阿侑香:榎本蒼:戸邉恵美:中井沙夜子:杉本龍峰

 

 

ご 挨 拶

大会実行委員長 渡邉 啓子

第7回臨書展にご出品いただき、ありがとうございます。

7回を迎えて特に感じることがありました。まず、小中学生からも臨書を書くのが楽しいという声が聞こえたこと。回数を重ねてこられた方々の成長が伺えたことです。

常設課題を取り組む中で、楷書書写の部から始め、臨書の3文字・4文字、7文字、14文字、全文と段階を追うことで、14文字や全文がサラッと書けるようになっていました。今後も実力をつけていかれるような大会運営を心掛けて参りたいと思います。

今年は、中国蘇州の寒山寺を勧請した日本寒山寺、楓橋夜泊の石碑が建つ場所にあるギャラリーにて展示会も開催いたします。東京郊外、山と多摩川渓流の中にある自然豊かな所です。ぜひ当地を訪れていただければ幸いです。

 

 

第11回全国書写書道総合大会

ひらがな・かきかたコンクール案内

第11回全国書写書道総合大会の一環として行います。締め切りは7月20日(水)です。その他、出品料、手本発表期日、審査結果発表期日などは同封の実施要項を参照してください。

 

課題一覧

書文協が独自に開発した「ひらがな難易度表」(下記)に基づいて作成。学年指定の硬筆共通清書用紙に鉛筆で書きます。年少・年中・年長は難易度表ランクAのひらがなで構成、小1はCランクが入らないように、小2,3は自由に構成しています。

参考手本・硬筆共通清書用紙は「団体参加(予定)申込書」に必要事項を記入の上、書文協にお送りください。参考手本は1枚41円+消費税、各用紙は1枚13円+消費税。参考手本は、ホームページからダウンロードもできます。「団体参加(予定)申込書」がない場合は、書文協ホームページ上部の「ダウンロード」にカーソルをあて、「書類ダウンロード」からダウンロードし、ご使用ください。今大会の書類・参考手本等の更新は、5月中旬に行います。

 

学年      用紙        課題
年少・中   清書用紙①    とり (なまえ)
年長     清書用紙①    つくし (なまえ)
小1      清書用紙②    ひろいそら  小一(氏名)
小2      清書用紙②    さかあがりをれんしゅうする。 小二(氏名)
小3      清書用紙③    たなばたによぞらみあげてねがいごと。 小三(氏名)

 

本賞賞品

本賞(特選・金・銀・銅賞)は子どもたちが強く待っていることから、これまで通りメダルバッジとする予定です。

 

 

「評価の観点」が発表されます

止め・はね・払いなど、覚えて欲しい書写書道のルールを書文協が独自に50項目にまとめたものが「評価の観点表」です。検定やコンクールで出されてきた作品を、この評価の観点に照らして審査します。

この指定課題の評価の観点はどこか、は公開されます。ともすれば書写書道作品の審査過程は明らかにされないブラックボックスとされてきました。単に「上手い、下手」の漠然とした評価でなく、評価されたポイントを知ることで書写書道は学びの道筋を得ます。今回のひらがな・かきかたコンクールの「評価の観点」は5月下旬に発表予定です。

 

 

硬筆課題検定
令和4年度 第1回特別段級認定試験 6月実施

進度判定試験は、新硬筆検定の受験をすでに受験していて、現在取り組んでいる課題より学びが先行していると思われるケースについて、教場・本人の申し出により書文協が必要と認めた場合に行います。ただし、”飛び級“は2ランク(2段級位)以内です。新硬筆検定は濃密に構成されており、着実に力をつけていただくために第1巻からの履修を原則としますが、本人の努力、教場の指導を得て実力が育まれた場合、これを認め、奨励するために進度判定を行っています。

進度判定試験は6、10月に行います。 受験申請書(定型)は団体が一括で書文協本部に提出してください。団体に属していない個人は個人申請用紙(同)で申請ができます。試験は、書文協が指定する課題について、手本を見ないで硬筆共通清書用紙に書いて提出します。受験料は1,000円(税抜)です。結果が合格の場合は、結果内容に合わせ、事務処理費として結果登録料を納めていただきます。

登録料は、基本料金が500円。合格課題1課題につき100円。(いずれも税抜)となります。登録料を収めていただいた後、成績登録し合格証の発行となります。

ご不明な点等、詳細は書文協事務局にお問い合わせください。

 

事務局より

検定、ライセンス等の申し込み締め切りは下記になります。締め切り日を過ぎますと、次の締め切りに合わせてのご対応とさせていただくことがあります。

❏検定      偶数月の20日 → 結果は翌月の奇数月末に発送

❏特別認定試験  6月・10月の20日 → 結果は翌月の奇数月末に発送

❏ライセンス   ❖申請・昇格試験受験申込 〆切  4月・10月の10日

❖昇格試験実施期間  5月・11月の15日~月末

❏教材注文    毎月10日 → 当月末発送