~日本書字文化協会機関紙 No97~
令和4年(2022年) 6月号

◇ご挨拶(会長・大平恵理)
◇第7回臨書展優秀作品展開催/特別賞受賞者コメント
◇書文協検定案内 テキスト11巻発行

 

一般社団法人日本書字文化協会(書文協)
本部 〒164-0001 東京都中野区中野2-11-6 丸由ビル3階
電話03-6304-8212 / FAX03-6304-8213
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ご 挨 拶

一般社団法人・日本書字文化協会
代表理事・会長 大平 恵理

ご 挨 拶

 

基礎から発展編まで書文協で

今年は3年ぶりに第7回書文協臨書展の優秀作品展示会を、 6月3日から5日まで、いつもの多摩川上流にあるギャラリーで開催します。詳細はこの会報にございますのでご覧いただき、できればぜひお出かけください。

臨書といえば、書写書道の学びの中でも発展編に属します。 書文協臨書展は、小さい子でも臨書に親しめる工夫をしていますが、本格臨書となるとやはり基礎の出来上がった人の出番といえるでしよう。臨書が高校書道の単元となっているのもそうしたことからです。

特別賞に輝いた七人の方の受賞コメントを読んでも、多くの人が基礎をみっちりと鍛えてきたのが分かります。そして、書くことの楽しみを臨書に見出しているのも共通しています。
一方で、書写書道はまずは基礎基本の書写から土壌をつくることが大事です。このために書文協は書写書道の学びを高めていくための手段として、全国書字検定試験を実施、そのためのテキストを発行しています。
その代表的な例が、硬筆の学びを一本化した硬筆実力(課題)検定です。120の課題を15冊のテキストに分割して検定の資料としています。年齢に応じて取り上げる内容、使う用語などに工夫を凝らしていますので、一冊仕上げるのに時間がかりますが、予定の15巻シリーズのうち11巻(高校2年生相当)まで来ました。完成まであと一歩。四月末に発行された11巻を今月号で紹介しています。
楷書、行書に続いて、いよいよ草書が始まりました。是非読んでいただき、検定にチャレンジしてください。

ところで、今回の臨書展のグランプリは、日本の古いかな文字を臨書したものでした。臨書は中国の古い古典の書に学ぶと思われがちな臨書に、かな作品を重厚に半切にまとめたものして、私も高くて評価しています。

 

 

第7回書文協臨書展優秀作品展を開催

6/3~6/5、青梅市澤乃井ガーデンギャラリー

緊急事態の状況で過去2回、開催できなかった標記展示会を、政府の緩和策が取られていることに鑑み、久しぶりに開催します。無料。もちろん、感染防止対策は徹底いたします。多摩川上流の渓谷沿いにあります会場に、ぜひお越しください。

会場:澤乃井ガーデンギャラリー
青梅市沢井2-770
TEL:0428-78-8210
<アクセス>
JR青梅線沢井駅から徒歩3分。JR青梅駅からバスも出ています。     

会期:2022.6/3(金)~6/5(日)
時間:午前11時から午後4時まで。最終日の5日は午後2時まで。

 

第4回臨書展優秀作品展の様子 ↑ ↓

 

受賞コメント集

第7回書文協臨書展で特別賞授与を受けた7人の方に、受賞のコメントを書いて頂きました。紙面の都合から、一部割愛するなど編集の手を入れさせていただきました。文責は編集部にあります。全文は、近くホームページに掲載予定です。ご了承下さい。
注:令和3年度実施のため、学校名・学年は昨年度のままです。

 

<大賞> 
阿部 智恵(一般)

久々に仮名作品を書きたいと思い、針切を臨書しました。細い線の中にある厳しさや力強さを表現すること、潤渇の変化を意識して作品を仕上げました。集中力を要する作品であるため、書き上げた時には達成感でいっぱいでした。幼少期より教室に通い始め、気がつけば書道を始めて20年経過しました。進学や就職など様々な環境の変化がありましたが、その中で継続できたことを誇りに感じます。ご指導して下さる寺本麗鳳先生や家族の支え、切磋琢磨し合える教室の仲間のおかげだと大変感謝しております。今後も書道の学びの基本である臨書学習を大切にし、精進して参ります。
(編集部:受賞作品写真は、月刊書字文化4・5月合併号に掲載)

 

<中国大使館文化部賞>
鈴木苺亜(東京都・中野区立中野東中学校3年)

私が書道を続けるかどうか悩んでいる時、ある人からアドバイスを頂きました。私にとって書道は大切なものであると、はっと気付かされるものでした。私は書道を自分の特技として堂々と自慢できる、そんな特技があるだけでも素晴らしいことで書道をやっていなかったらそんなものにも出会えなかったと思っています。ずっと手に触れていなかった筆を1月頃になり学校の書き初めで久しぶりに持った時、筆の感触が身に染みました。
途中で諦めて辞めていたらそんな自分と向き合えてなかったので私を支えて下さった先生方、家族にとても感謝しております。
これからも得意なものとしてそしてまだまだ可能性を広げ、書道と向き合っていきたいと思います。

 

青梅市沢井

<中央審査委員会賞>
近藤乃愛(秋田県・ノースアジア大学2年)

臨書は原本を元にして作品を書くと言われます。しかし、墨の付け具合や筆の運筆の工夫を自分で作り上げることも必要です。中学生から臨書を書き始めましたが、最初の頃は原本を真似て書いていました。私は不器用で柔軟性がない性格で、いつも運筆に強弱がない作品を書いてしまうことが多いです。毎回指摘されても筆の感覚を掴むことができなかったのが現状でした。それでも文字を書くことは楽しいです。作品を遺すことは、自身の成長を振り返ることのできる人生の要であり、宝物であると思います。
これからも上位入賞を目指し、日々精進して参ります。

 

<日本書字文化協会会長賞>
龍見奈々子(大阪府・緑涼高等学校2年)

高校では書道部を選択し、顧問の先生から古典「雁塔聖教序」を教えていただきました。半紙に太筆で書くサイズから始まり小筆で藍紙に鉄鉢で書く作品まで稽古しました。
昨年、学校から『大阪府高等学校芸術文化祭』にこの古典で挑戦し、力を出し切った思いでしたが願った結果には繋がりませんでした。
そんな中、『日本書字文化協会臨書展』があると書塾の先生から聞き、もう一度この古典で挑戦したいと思いました。この作品は、古典の特徴をしっかり正確に捉え、初心に戻る覚悟で書き上げました。最後まで諦めず向き合えたことが今回の受賞に繋がったのだと思い、結果を聞いたときは本当に嬉しかったです。

 

<青梅市日中友好協会会長賞>
関口美夢(東京都・青梅市立第2中学校1年)

今回の作品は、楽しみにしながら習いに行けました。なぜなら、普段は、楷書や行書でも基本的な書き方が主ですが、自由にのびのび書けるイメージの行書だからです。
また、臨書展では道具も違うものが使えます。書くと驚くほどぐねぐねの羊毛も自分では思ってもいない線を表現してくれます。筆の開きや勢いで出来た表現は、常に出るものでもなく、書く中で同じ線が出るとは限らないので、そういう線が出た時は「ラッキー」と思うといいよ、と先生は良い線のことを教えてくれます。
そのような中で、筆や硯等を作っている職人さんのDVDを見たことを思い返しました。これから私は、筆一つひとつ、毛一本いっぽんに思いを込めて作ってくれた職人さんや、筆の大元となる動物たちにも感謝して書いていきたいです。

 

<日中文化交流促進会理事長賞>
戸邉奏太(千葉県・船橋市立高根台第2小学校5年)

臨書とは…何だろう?と調べてみました。『書の古典を見て習うことを臨書という』古典についても調べるうちに、いろんな人のいろんな書体も目にすることができました。書道が日本にどうやって伝わってきたのかなど、国語の学習でも学んでいましたが、さらに深く知ることができました。歴史に興味があるぼくにとって、今ぼくたちが書いている文字や、書道にはこんな歴史があったことに、新しい発見をすることができました。
今年は6年生になり、小学生最後の年です。日々の積み重ね、努力すること、そしていつもご指導くださる先生方への感謝を忘れず、これからもがんばりたいと思います。

 

日本寒山寺の「楓橋夜泊」石碑

<日中文化交流促進会理事長賞>
松尾彩加(東京都・江東区立亀戸中学校2年)

今まで臨書の勉強はしたことがなかったので、初めての経験は不安でもあり、新しいものに挑戦するワクワク感もあって、書いていくうちに筆の運びや字形のとりかた、全体のバランスの難しさ、楷書や行書の他に草書や色々な書体が存在することも知りました。
臨書の難しさを感じながらも、点画の繋がりを大切に意識を集中して作品を書くとあっという間に時間が過ぎ、自分がのめり込んでいく心地よさを感じひたすら練習し作品を仕上げた結果、このような素晴らしい賞をいただき驚いています。
来年は高校生になり、芸術書道や書道教室でも古典臨書が中心のお稽古ができるので、今回の経験を生かして前進したいと思います。

 

 

 

硬筆実力(課題)検定受験のご案内

日頃より日本書字文化協会(以下、書文協)の活動にご理解くださいまして有難うございます。標記検定試験(通称・新硬筆検定)をご案内します。鉛筆・ペンによる硬筆指導は、書文協が全国随一と自負しております。正しく、美しい日本語の継承・発展は書文協の掲げる理念です。きちんと硬筆文字を書けることは、学力アップにもつながります。

新硬筆検定は、書文協制作のテキストの課題について教場で学び、清書作品を提出していただくものです。合否の判定と共に、ワンポイント添削した作品をお戻しします。検定の進み具合に応じて、段級も付与され励みになります。以下にその特徴をまとめました。

検定受験は教場を通じて行います。また、教場卒業後は、書文協に直接作品を送ることで継続して受験することができます。テキスト「えんぴつ・ペン文字練習帳」につきましては、このほど第11巻を発行いたしました。その案内を兼ねて、紹介させていただきます。

ご検討くださいますよう、よろしくお願い申し上げます。                敬具

 

 

新硬筆検定テキスト11巻を発行

書文協はこのほど、「えんぴつ・ペン文字練習帳11巻」を発行しました。B5判64ページで600円(消費税別)です。書文協発行の教材、書具の価格は、書文協ホームページのメニュー欄「書文協紹介」からプルダウン表示される教材・教具の値段項目からご覧ください(いずれも消費税別です)。
新硬筆テキストは15巻シリーズで、現在11巻まで発行されています。学年相当で作成されており、1巻は小学1年生相当、7巻は中学1年生相当、10巻は高校1年生相当、13巻以上は大学・一般相当となっています。取り上げる内容、表現、使用漢字などに学年相当の工夫がされています。
各巻とも8課題で構成されています。
新硬筆検定は120課題で構成されていますから15巻を合格し、最高の10段を付与されます。段級は20段階。詳しくはホームページのメニュー欄「検定・資格・大会など」からプルダウン表示される硬筆実力(課題)検定実施要項をご覧ください。
テキストは第1巻から順に進んでいただきますが“飛び級”の制度もありますので、同検定実施要項をご覧ください。
11巻の87番課題からは草書が始まります。
楷書・行書・草書の全てに渡って硬筆文字に取り組む完全な硬筆テキストです。
この15巻シリーズの前段階として、幼児編が上・下の冊構成で出版されています。就学前の幼稚園・保育園児でも、字に興味、関心が持てるように作られています。幼児編も検定・級付与の対象になります。実施規定をご覧ください。

 

 

 

割り引きのテキスト販売も

教場、園・学校で一括して購入される際は、割り引き販売もいたします。詳しくは書文協にお問い合わせください。

下記は幼児編