~日本書字文化協会機関紙 No107~
令和6年(2024年) 新年号

 

◇ご挨拶(会長・大平恵理)
◇書の国際化を視野に、東京都美術館に集合
◇新しい記念アルバム・表装について
◇第9回臨書展に応募を、同実施要項
◇第63回全書研大会が開催
◇新年・専修学院生全国募集
◇書検にチャレンジを

◆第12回伝統文化大会の締め切りは2024.1.20です◆

 

一般社団法人日本書字文化協会(書文協)
本部 〒164-0001 東京都中野区中野2-11-6 丸由ビル3階
電話03-6304-8212 / FAX03-6304-8213
Eメールinfo@syobunkyo.org ホームページhttps://www.syobunkyo.org

 

 

 

ご 挨 拶

一般社団法人・日本書字文化協会
代表理事・会長 大平 恵理

2024年の抱負-書字文化の推進

2024年、お陰様で書文協は設立15年目を迎えます。これまでお世話になった諸先生方、保護者の方々、生徒さんを始め多くの方々に、ご理解、ご支援いただきましたことに深く感謝申し上げます。

高校1年の時から教える現場に立ちました。そこから約30年間の経験をもとに、15年前に信頼する仲間たちと立ち上げたのが一般社団法人日本書字文化協会(書文協)です。今、世界は局地紛争など様々な困難を抱えています。真意や価値が問われ、正されることに真摯に向き合わねばならない時代と痛感しています。新年を迎えるにあたり、書写書道を『手書き文化=書字文化』と捉え、ITやAIが進む時代だからこそ、個性に裏打ちされた手書きの意義、言葉と密接な良さがある手書き文化活動の推進に努めたいと改めて心に刻んでおります。

今年取り組んでいきたい項目を列挙致します。①新たな学び方と評価を見出す書検の実施、②学びの機会を広げ、充実を図るためのテキスト発行(硬筆テキストの完成と毛筆テキストの改定)、③学ぶ場の充実を図ることにおいては専修学院の拡充(カリキュラムの明確化、オンライン指導+スクーリング校の設置)、④全国コンクール等を通じて、幅広く魅力ある取り組みと経験を目的とした国際芸術書法展等への参加、⑤検定・ライセンス・コンクール記録を中心に、学ぶ価値を高めるための成績証明書の発行、⑥これまでの取り組みの集大成として手本集の作成、以上です。
変わらぬご支援ご理解をくださいますようよろしくお願い申し上げます。

書の国際化を視野に

書文協は、古くから漢字を使う同文の国である隣国「中華人民共和国(中国)」の書法(書道)団体と協力し、書道を国際的に発展させるよう今年も尽力いたします。
具体的には第一に、令和6年も秋に東京・上野公園の東京都美術館で開く予定の「第57回国際書法芸術展」(主催:国際書法芸術協会、中国書法学院、後援:書文協など)に積極的に参加致します。過去1年の書文協主催コンクールの優秀作品の中から選んだ「博選証」作品(昨年は196点)を出品し展示します。(写真は「博選証」)
また、全てのコンクール作品を中国で開催の「青少年世界和平書法大会」に出品し、展示を計画しています。同大会は、政治情勢などにより目下、第1回開催が未定の状況ですが、韓国も含め関係各団体は「書のオリンピック的存在に」と意気込んでおり、早晩実現する見通しです。それまでは、中国国内での展示やその他の方法を模索中です。このため、記念アルバムで使用する作品はコピー作品となります。今後は毛筆作品の記念アルバム化も行います。詳細は、後述の「記念アルバム・表装」をご覧ください。

 

 

 

 

東京都美術館に集合!

この国際書法芸術展は現在、令和6年秋も、同美術館で開催の予定です。同芸術展で書文協は、これまで年2回開いてきた展示会を一本化してこの時に開催、博選証作品を展示します。また、交流・表彰式の場にもすることを検討しており、文部科学大臣賞の伝達式も実現するかもしれません。
また、今回も「揮毫(席書)交流会」が行われる日に「皆さん、都美術館に集まろう」と呼びかける予定です。昨年はこの呼びかけに応え、九州、中国、北陸の遠方からを含め、多くの書文協関係メンバーがご家族を含め多数集まり、旧交を温めました。この時、発行され、皆さんが胸に貼って好評だったのが「揮毫交流会参加証」です。
今年も発行します。

 

 

 

新記念アルバム・表装

書文協の各種事業にご協力をいただき、ありがとうございます。
これまで、作品の記録保存、作品化奨励のため、硬筆作品については記念アルバム、毛筆作品については表装の作成をお勧めしてまいりました。今後、学びの記録保存、作品化をさらに強化するため、またコンクール状況の変化に対応し、記念アルバム・表装の作り方を抜本的に変更いたします。
変更は第12回書写書道総合大会からとなります。現在検討中の変更方向をお知らせしますので参考にしていただき、奮って製作を希望していただきますようお願い致します。ご意見をお寄せください。

 

◆変更点①毛筆もアルバム化
これまで記念アルバム化は硬筆のみでしたが、毛筆も記念アルバムにする方向です。アルバムサイズはA4サイズより少し大きめ(およそ縦31センチ、横24センチ、厚さ1センチ)は変わりませんが、その作品ページに最大にした作品画像を収められるようにします。このため専門業者との打ち合わせを進めています。

◆変更点②表装希望の方
表装を希望される方は、出品作品とは別に表装用作品が必要となります。

◆変更点③複製作品での製作
書の国際化を進めるため、これまで自筆作品での作成をしていましたが、年間の作品を東京都美術館での展示、国際展等への出品を考慮して今後は複製(コピー)作品での作成となります。

◆変更点④価格
第12回総合大会(硬筆コンクール)では諸物価の動向により1冊5,940円(税込)でご案内しました。毛筆作品については撮影費用がプラスされた料金となります。極力抑えるように致します。

 

 

 

第9回臨書展に応募を

書文協の第9回臨書展は、令和6年4月20日(土)必着の締め切りで行われます。臨書とは、大まかに言えば、書の古典を模写することを言います。書道を学ぶ上で、書く技術を高めるためのとても大事な学びとされています。高校書道科のカリキュラムでは、臨書が重視されているのがわかります。また、古典の多くは中国の優れた書作品です。国際化時代の異文化理解の手始めとして、漢字同文の隣国の文化を知ることはとても意義があります。もちろん日本の古典臨書作品も大歓迎です。
こうした目的から、書文協は小学生のうちから臨書に親しめるように工夫した臨書展を開催、今回で9回目となりました。
応募用紙なども付いた実施要項は新年1月中に書文協ホームページに掲載されますのでご覧ください。
<臨書展開催の由来となった場所>
東京都を横断する一級河川、多摩川の上流部(東京都青梅市沢井)に「日本寒山寺」があります。明治時代、蘇州・寒山寺の呼びかけに応え、地元の篤志家たちが建立したと伝えられるもので、蘇州・寒山寺境内に立つ漢詩「楓橋夜泊」の碑文と同じ様に建てられた鐘付き堂の鐘の音が川面を流れます。書文協臨書展は、東京の隠れた日中友好の場であるとも言える日本寒山寺周辺をイメージする場所としています。実施要項にありますように臨書の常設課題として漢詩「楓橋夜泊」があるのはそのためです。

 

 

 

第9回臨書展実施要項(抜粋)

1.主催 
一般社団法人日本書字文化協会

2.後援(予定)
外務省、青梅市、中華人民共和国駐日本国大使館文化部、東京都青梅市日本中国友好協会、中国書法学院、国際芸術家連盟、NPO法人日中友好交流促進会
蘇州・寒山寺、蘇州呉昌碩研究会

3.大会役員 
実行委員長  渡邉啓子
副実行委員長 池田圭子

4.審査員 
加藤東陽(書文協中央審査委員長、東京学芸大学名誉教授)
加藤堆繋(同委員会委員、東京学芸大学教授、前文部科学省教科調査官)
豊口和士 (文教大学教授、文部科学省教科調査官)
大平恵理(日本書字文化協会会長)

5.作品〆切
令和6年4月20日(土)必着

6.賞 
大賞 (臨書の部から)、中華人民共和国駐日本国大使館文化部賞、中央審査委員会賞、日本書字文化協会会長賞、青梅市日中友好協会会長賞、日中文化交流促進会理事長賞
優秀賞、本賞(特選、金・銀・銅賞)

7.展示会 
会期は例年通り3日間、5月31日(金)~6月2日(日)
青梅市の澤乃井ガーデンギャラリーで開催

8.応募資格 
全部門とも年齢不問

9.募集部門

<臨書の部>   用紙は半切、八ッ切、半紙
・自由課題(高校書道教科書ⅠⅡⅢを基準とする。中国・日本古典共に。2文字以上。)
・常設課題(漢詩・楓橋夜泊)の1句以上
1句中の四文字、三文字でも可

漢詩「楓橋夜泊」
月 落 烏 啼 霜 満 天
江 楓 漁 火 對 愁 眠
姑 蘇 城 外 寒 山 寺
夜 半 鐘 声 到 客 船

<楷書書写の部> 下記から選ぶ。用紙は半紙、八ッ切
・1字:月 満 天 漁 火 城 外 の中から1文字
・2字:漁火
・3字:寒山寺

※用紙はいずれも縦長、縦書き使用。落款は、落款印のみは不可。
※各部門別の審査です。各部門で複数出品できますが、授賞対象は最も優秀な1点のみです。最大3賞(楷書書写の部、臨書の部常設課題、臨書の部自由課題)が下付されます。

★学年は、出品時(令和6年度)の学年を書いてください。

10.手本 
指定課題は漢詩・楓橋夜泊の拓本をA3判に複写したものを、楷書書写の部の手本(大平恵理揮毫)はA4判で計9枚。手本はいずれも1枚当たりA4判120円、A3判240円(税別)。希望者は送料520円を加え振込後、内容を記載し、受領証と一緒に郵送(FAX、メールに添付で送信も可)で書文協本部に申し込んでください。

11.出品方法  
①作品に出品票を貼付する(出品票には※出品券を貼付)
※出品券=下記に説明があります。

②応募総括用紙(振込受領書を貼付)、応募明細用紙を同封し送付
※出品時の学年は令和6年度の新学年を書いてください。
※応募書類は書文協ホームからダウンロードできます。<個人別事前参加登録用紙><応募総括用紙><応募明細用紙><出品票>がそれぞれ書文協ホームページにアップされています。
書文協ホームページのフロントページ上部にあるメニュー欄の1列目、右端にある「ダウンロード」にカーソルを当てると、詳細項目がプルダウン表示されます。その最初「書類ダウンロード」に様々な書類がUPされています。その中から大会関係を選んでダウンロードし、ご利用ください。また、書文協に直接申し込んでいただくこともできます。
※書文協では全国書字検定試験、ライセンス試験、全国書写書道大会、講習会等における事前参加登録制を実施しています。
参加予定者には個人別事前参加登録用紙を提出することで出品券が発行されます。
応募の際は、応募総括用紙、応募明細用紙を作品(出品票を貼付)に 必ず添えてください。出品券の貼付は、出品票の所定欄となります。出品票はダウンロードもできます。

12.出品料 
臨書の部    1点1,100円(幼児・小中学生は800円)
楷書書写の部  1点1,000円(幼児・小中学生は700円)
個人出品は一律1点1,820円
※いずれも消費税別
※出品・参加は誰でもできますが、書文協会員の場合は会員割引があります。出品における事務作業等の費用として行われるものです。書文協会員規則により、団体会員Aは5%、団体会員Bは10%、団体会員Cは15%が割り引かれます。会員制度の詳細はお問い合わせ下さい。団体審査(一審)を行った場合は出品料からさらに5%引かれます。出品にあたり、割引は学校、団体会員のみとなります。

 

全書研全国大会が開催

 

 

 

 

 

 

 

先生方の教科研究団体である全日本書写書道教育研究会(加藤祐司(雅号・東陽)会長)は2023年11月17,18日に、東京都西東京市の武蔵野大学」(武蔵野キャンパス)で、第63回全国大会(東京)を開きました。昭和30年に同研究会(略称・全書研)が発足して以来、書写書道教育の発展を目指し、毎年全国大会を開いています。

大会主題は「文字文化に関わる資質・能力の育成を目指す書写書道教育」。加藤会長はごあいさつ(同大会研究紀要から)で、「児童生徒は今、『文字文化』の学びに於いて、アナログとデジタル、対面と遠隔の両方の空間を生きています」と難しい現状認識を表明した上で、今回は新たに『文字遊び』等を加えたことを説明されました。

研究発表も活発に行われました。例えば、廣瀬裕之氏(武蔵野大学)と圡上智子氏(日本女子大学)は「幼少連携の活動における水書用筆を用いた就学前の文字遊びについて」を発表。絵遊び歌を発展させて創作した文字遊び体操」を
披露するなど注目を集めました。

 

 

新年・専修学院生全国募集

特典
2024年1~3月を新年特別募集とし、入学金半額、紹介者にも薄謝を進呈します。

募集内容
①書文協の附属書写書道専修学院の3校(中野・多摩・川崎校)での対面授業
②オンライン指導による生徒を全国募集します(特別地域は除く)。
特別地域とは、書文協関連の書塾がある近辺です。主に隣接の群市。ただし、指導者養成科は所属団体の推薦があれば特別地域からの入学を認めます。文章表現講座に特別地域はありません。
学び方は対面とオンライン、その併用の3パターンがあります。

専修学院の構成
<書写書道>
初等科:書字の基礎基本を習得する
中等科:書字の応用力をつける
高等科:書字の専門性を高める
指導者養成科:書字の基礎基本と応用力を付けると共に、指導者として専門性も高める
カルチャーコース:行書、草書、漢字かな交じり文連綿、細字百人一首から選択

<文章表現講座>
初級クラス日記
中級クラス手紙
上級クラス随筆
秀級クラス論文

受講料及び入学金(消費税別途)
(1)入学金 5,000円
(2)受講料(月謝)
<初等科>
幼児~学生 6,000円
一般 7,000円
<中等科>
幼児~学生 6,500円
一般 7,500円
<高等科>
幼児~学生 7,000円
一般 8,000円
<指導者養成科>
高校生 8,500円
大学・一般 10,000円
<カルチャ―コース>
一般 8,000円
<文章表現講座>
初級クラス 3,000円
中級クラス 4,000円
上級クラス 5,000円
秀級クラス 6,000円
※書写書道の科・コースと同時に学ぶ場合は一律1,000円とする。

授業参加形態
全ての常設の科・コースは、対面とオンライン併用のハイブリッド授業に対応する。また、オンラインのみの受講も可とする。オンラインを活用した受講は、授業参加型と個別指導型がある。文章表現講座は全てオンラインで行う。特別講習会についてはその都度案内を行う。

◆以上、詳しくは書文協本部(問い合わせ電話、メールアドレスなどは別記)にお気軽に問合せ下さい。

 

書検を受験しましょう

書文協は2023年より、書検(全日本書字検定試験)を始めました。字の上手さではなく、書写書道の基本が何処まで身に付いているかを学年段階ごとに調べる全国で初めてのテストです。書写書道を生涯学習にするために行われもので、硬筆毛筆を併せて評価します。「書検」の言葉は商標登録されており、公益財団法人文字・活字文化推進機構後援、加藤東陽書文協中央審査委員長の指導で進めます。
2024年は前期(5月)、後期(11月)に実施、合格段級証を付与します。近くなったら改めて広報します。皆さん、奮ってチャレンジしてください。

 

1.実施期日 
年2回、
前期5月1~15日
後期11月1~15日のどれか1日

2.実施会場 
認定した園・学校・書塾、公共機関

3.検 定 料 
段級ごとに設定し発表

4.テキスト等 
書文協から試験対策資料(筆記に出る観点語句一覧)、審査講評などを発行。練習テキストの刊行も検討する。

5.受験方法・試験内容
・受験資格 年少~一般
・検定レベル 園児から小学6学年、中学3学年、高校3学年、大学・一般までの16段階の学年相当で行い、合否判定する。
・硬筆・毛筆同時に行い(4級までは硬筆のみ)、書写書道の基礎知識・実技を含む。
・受験方法 順を追うことなく、相当学年を自由に選んで受験することができる。合格した場合は、それより前の段階もクリアしているものとする。

6.「筆記に出る観点語句一覧表」の発行
テストを受けることで覚える、ことが大きな目標です。このため、筆記テストについては、テストで出題される項目全体を事前公開します。
それをまとめた冊子を「筆記に出る観点語句一覧表」(旧・筆記の設問一覧)と呼びます。試験内容は、送付した人限りとし、漏らさないようにお願いします。す。