脚光浴びる「書字」の理念を追究
日本書字文化協会(書文協)は2012年1月スタートしました。従来から書写書道の全国組織として運営して来ましたが、「書字」という考え方を進める団体として再スタートした完全非営利型の一般社団法人です。
「書字」という言葉は日本の教育界に古くからありましたが、2011年の文部科学省学習指導改訂によって注目されました。同要領では、小中学校で教わる国語の一環としての書写と、高校芸術科目としての書道の連続が強調され、単に書写という技術だけでない文化としての書写書道に関心があつまりました。こうした流れを受けて、従来の小中学校での書写と高校書道を一本にして学ぶため日本書字文化協会の名で事業を進めることとなりました。
東京・中野に本拠を置いており、検定・通信による学びの推進を中心に全国各地に出向く講習会も展開しています。また、多くの指導者を育成するため、指導者ライセンス(資格)の付与事業も進めています。同時に、夏・秋の全国書写書道総合大会と冬の全国書写書道伝統文化大会を開催し、書写書道の書字文化を学ぶ人の励みとして、また全国に書字文化を普及させる場を設けています。
書文協の理念と公共性高い運営は公益財団法人文字・活字文化推進機構に高く評価され、夏・冬の両大会とも共同主催していただいています。同機構は平成17年の文字・活字文化振興法が超党派で成立・施行されたのを受けて設立されたものです。
また、書文協の活動は、学校の先生方の教科研究機関である全日本書写書道教育研究会(全書研)の関心を集め、2つの全国大会の後援や書字文化の研究などで共同歩調をとっています。書文協はここ数年、年次大会でも書字文化の担い手育成をスローガンに掲げています。
大平恵理プロフィール
書文協のリーダーは大平恵理、書写の持つ実用の趣と書道の審美の世界を知る者として「用美一体を極めた書風」と評価されています。1965年。東京都出身。2児の母。大東文化大学出身、かつて東京都青梅市に拠を構えた旧・日本書写能力検定委員会で育ち、同委員会の会長・理事長を務めた。早くから同委員会の大会参考手本の揮毫を一身に担った。
主な著書に「えんぴつ文字練習帳初級・中級・上級編」「硬筆文字練習帳実力養成編・応用発展編」5冊シリーズ(いずれも角川学芸出版)、「えんぴつ書き練習帳」など(いずれも金園社)など。
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